4. 作ってみよう
材料・道具・型紙が揃いましたね。それでは、実際に作っていきましょう。今回は大人サイズ(女性小さめサイズ)のマスクを作ります。子供サイズ(2~6歳)も作り方は同じです。
マスクのサイズについては、このページの下の方の「5.あとがき」に詳しく書いてあります。
丁寧に説明しているつもりですが、わからない箇所があった場合はこのページの下の方にあるコメント欄から質問してください。
4.1 型紙を切る
【1】紙に印刷された(紙に書いた)型紙、ありますよね。型紙が無い方は、前のページの「3. 型紙を手に入れよう」まで戻ってください。
【2】大人用マスクの型紙の外側のライン(実線)を、ハサミで切ってください。
この型紙だけを使います。今回の講座では「接着芯」は使いません。中上級者向けのアイテムです。接着芯を使ったマスクの作り方を知りたい方はこちらをご覧ください。
4.2 布を切る
【3】表地用の布の裏に型紙を置いて、型紙の形をペンを使って写し取ります。型紙の形に沿って布に線を引くって言うことです。
※ 型紙を置く向きは、「型紙の直線部分(たて)」と「布の耳」が平行になる向きが良いのですが、よくわからない場合は今回はどの向きに置いてもOKということにしましょう。
【4】型紙の位置に線が引けたら、型紙を裏返して先ほど書いた線の隣あたりに置きます。そして、先ほどと同じように型紙の形に沿って線を引きます。
【5】すると、型紙と同じ形の図形が左右対称に書けたと思います。ここで、鼻の位置(写真の赤丸)にペンでしるしを付けておきましょう。
【6】ペンで線を引いたところをハサミで切ってください。裏地も同じようにペンで線を引いてからハサミで切ります。すると、合計4枚の布が切り取れるはずです。
2枚の表地が左右対称に、2枚の裏地も左右対称になっているのがわかるでしょうか。
初めてこの型紙でマスクを作る方は、まずはマスク1個分の布だけを切ってください。マスクを使う人によって顔の大きさ・形・好みがかなり違うため、効率を考えて一度にマスク複数個分の布を切ると、サイズが合わなかったときに布がたくさんムダになってしまいます。
4.3 縫うラインにしるしを付ける
【7】型紙の上・左・下の点線をハサミで切ります。右側の縦の点線は切らないでください。
【8】そして、布の裏に重ねます。右端はぴったりと布に合わせると、上・左・下は1cmぐらいあくはずです。そして、型紙に沿ってペンで線を引きます。
【9】型紙の点線の位置を写し取れました。この線の上を縫っていくことになります。
【10】他の3枚の生地も同じように線を引きます。なお、写真の左側にある布に線を引くには型紙を裏返す必要があります。
これで、縫うラインにしるしが付けられました。
4.4 布を合わせる
【11】表地の2枚の布をぴったりと重ねます。この時、表地の表(いちごの絵がプリントされている方)が内側になるようにします。すると、鼻側同士、アゴ側同士がぴったり合うはずです。
【12】ぴったり合いましたか?まあ、少しずれていても大丈夫です。
4.5 針に糸を通す
縫う準備をします。
【13】まずは、針に糸を通します。
【14】そして、糸を二重にして35cmぐらいになるようにして切ります。最初に糸を70cmに切ってから通してもOKです。
糸の長さは、これから縫う予定のラインよりも15cmぐらい長くするって覚えておいてください。そうすると、長すぎず短すぎずちょうどいい長さになります。
4.6 玉結びをする
【15】二重になった糸の先を揃えます。これからここに玉結びをするのですが、一般的な方法の「指に巻き付けてコロコロする」のは難しいので別の方法を紹介します。
【16】糸の先端を輪にして、糸の先端を通して、
【17】結ぶだけです。どんな結び方でも、糸の先の方に玉が出来ていればOKです。
【18】糸の先端から玉結びまでが長すぎる場合は、
【19】玉結びから5mmぐらいの長さを残して先端を切ってください。
これで、玉結びができました。
4.7 縫う位置を確認する
それでは、これから縫う位置を確認しましょう。
【20】写真をみてください。鼻とアゴの間のカーブしている黄色い線がこれから縫う位置です。ペンで線を引いたところです。
これから縫っていくのですが、私は右利きなので右側から左側に向かって縫っていきます。でも、逆から(左から右に)縫ってもOKです。
4.8 なみ縫い(レベル1)
それでは、縫い始めましょう。まずは超初心者さんのための「レベル1」の方法です。
【21】縫い始める場所に針をさします。ペンでしるしを付けたカドのところから始まります。
【22】そのまま針を引っ張って、針と糸を布に通していきます。すると、先ほど作った玉結びで糸が止まるはずです。
※ 玉結びが布をすり抜けてしまう場合は、玉結びを大きくするか、もう少し太い糸を使ってみてください。あと、糸は強く引かないで優しく引いてくださいね。
【23】次に、反対側から(向こう側から)針をさすのですが、さす位置は布から糸が出ているところの5mmぐらい隣で、なおかつ。ペンで書いた線の上でです。だいたい5mmぐらい隣にさせてればOKです。
【24】そのまま、針と糸を布に通します。すると、こちら側(手前の方)に糸が出てきます。玉結びの5mmぐらい隣でペンで書いた線の上に糸が出てきていれば大成功です。でも、今回は1cmぐらい離れてしまっていても、線の上から少し外れてしまっていても気にしないで進めていきましょう。
【25】続けて同じことを繰り返します。糸が出ている5mmぐらい隣の線の上に針をさして、
【26】向こう側に針と糸を通り抜けさせます。
【27】そして、向こう側からまた針と糸を通り抜けさせます。
これを繰り返すのが「なみ縫い(レベル1)」です。
4.9 なみ縫い(レベル2)
レベル1のなみ縫いが出来ればマスクは作れるのですが、もう少し速く縫いたい方は、レベル2を試してみてください。
【28】針を布に差すところまでは同じです。
【29】そのまま針と糸を布に通り抜けさせないで、針を(5mmぐらい隣の)手前から出します。安全ピンで名札を服に付けるときにやるのと同じやりかたです。
【30】そして、そのまま針を引っ張って引き抜きます。
これを繰り返すのが、なみ縫い(レベル2)です。
4.10 なみ縫い(レベル3)
レベル2に慣れて、さらに速度アップをしたい方は、レベル3をやってみましょう。
【31】レベル2のなみ縫いを針を引き抜かないで2~3回繰り返します。
【32】そして、針と糸を一気に引き抜きます。一度にたくさん縫えました。
実は、このレベル3こそが、教科書に書かれているような一般的な「なみ縫い」です。
とりあえずレベル1が出来ればいいので、レベル2やレベル3は余裕がある方がやってみてください。
4.11 縫い目をしごく
【33】さて、なみ縫いで最後まで縫い終わりました。
【34】もし、下の写真のように布が引きつれてぐちゃぐちゃになっているようでしたら、布を平らにしましょう。
【35】縫い始めた方から縫い終わりの方向に向かって、縫った部分を指でこすったり、布の両端を引っ張ったりすると平らになります。
布がピシっと平らになったら、次は玉どめです。
4.12 玉どめをする
縫い始めには玉結びをしましたが、縫い終わりには玉どめをします。そうしないと、縫った糸が外れてしまいます。こちらも一般的な方法の「針に糸を巻き付けて引き抜く」のは難しいので、今回はもっと簡単な方法を紹介します。
【36】まず、針の近くで糸を切ります。
【37】二本ある糸をバラバラに離します。
【38】その二本の糸どうしを結びます。輪を作って糸の端を引っ張ると、
【39】布から糸が出ているギリギリのところに玉どめが出来ます。
【40】もう一回結びます。
【41】玉どめが少し大きくなりました。
【42】玉どめから5mmぐらいの位置で糸を切ります。
これで、玉どめの完成です。
4.13 裏地も縫う
表地(いちご柄の布)同士が縫い合わさったので、次は裏地(白い布)の番です。
【43】表地と同じように工程【11】~【42】を裏地に対しても行ってください。裏地どうしを重ねて縫うってことです。すると、このようになります。
きれいな縫い目になったでしょうか? 超初心者さんですと、縫い目がバラバラになってしまうのが当たり前です。気にせず次に行きましょう。
4.14 表地と裏地を重ねる
【44】このままだと縫い代(布の端から縫い目までの距離)が多すぎるので、縫ったところから5mmぐらいのところをハサミで切ります。このとき、先ほど縫った糸を切ってしまわないように気を付けてください。(切り取った細長くカーブした布は捨ててしまって大丈夫です)
【45】次は、表地と裏地をそれぞれ広げて置くのですが、写真をよく見て置き方に注意してください。
裏地は表が見えるように(縫い目が見えない方が表)、表地は裏が見えるように(縫い目が見える方が裏)。そして、鼻側が上、アゴ側が下です。
【46】そのまま、表地(いちご柄の布)を持ち上げて裏地(白い布)の上に乗せます。するとぴったりと重なるはずです。
【47】表地をちらりとめくってみると、表地の表と裏地の表が接しているのがわかるかと思います。
表地と裏地がぴったりと重なるはずなのですが、布を切ったり縫ったときのゆがみで完全にぴったりと重ならないと思います。あまり気にせずに次に進みましょう。
4.15 表地と裏地を縫い合わせる
【48】それでは、また縫っていきましょう。縫うのはこの黄色い線の部分、2か所です。ペンで線が書いてあるはずです。
【49】縫い方は覚えていますか? 「糸を針に通す(糸の長さは2重にして35cmぐらい)」⇒「玉結び」⇒「なみ縫い」⇒「布を平らに」⇒「玉どめ」です。縫い方を忘れてしまった方は、工程【13】からもう一度見てみてください。
※ 縫っている途中で、工程【44】で5mm残してカットした縫い代部分がジャマになりますが、どちらか片側に倒してそのまま縫い進めてください。
これで、表地と裏地が縫い合わさりました。
4.16 表に返す
【50】2か所縫うと、布がトンネル状になると思います。片方のトンネルの入り口を開いてみてください。写真では、赤いクリップが入っているところです。
【51】そこから、中に手を入れて生地を少しずつ引っ張り出します。
【52】すると、生地が表になります。表というのは、縫い目が見えない側です。
【53】トンネルの中に指を入れたりして、裏地と表地がきれいに重なるようにします。
【54】だんだんとマスクらしい形になってきましたね。
【55】半分に折ると、ぴったりと重なるはずですが、
ちょっとぐらいずれていても気にしない!
4.17 ゴムひもを通す部分を折る
【56】マスクの端を裏側に1cmぐらい折ります。
【57】そのままさらに1.5cmぐらい折ります。そして、クリップ(洗濯ばさみ)などでとめておきます。
【58】反対側も同じように「1cm」⇒「1.5cm」と折ってクリップなどでとめてください。するとこのようになります。
もう、マスクの形ですね。もう少しで出来上がります。
4.18 ゴムひもを通す部分を縫う
【59】まずは、縫う位置の確認です。この写真の黄色線の部分を2本縫うことになります。先ほど折った部分の上ですね。マスクゴムを通すことを考えで端の方を縫います。黄色線の部分にペンで線を書いておいてもいいですね。
【60】さて、これから「なみ縫い」で縫っていくのですが、一番最初に説明した「レベル1」のなみ縫いをしてください。この部分は布が何枚も重なっていて固いので、「レベル2」や「レベル3」だと縫うのが難しいです。
もう一度、なみ縫い(レベル1)を簡単に説明しますと、まず、針に糸を通します(今回縫う長さは短いので、糸の長さは二重にして25cmでOK)。そして、玉結びをして、布を折り返した端の方に針を刺します。
【61】そして、そのまま針を引っ張って、針と糸を布に通します。玉結びで糸が止まりましたね。
【62】次に、先ほどの糸が出ている隣に針を刺します。どうですか?思い出しましたか?思い出せない方は工程【21】からもう一度見てみてください。
【63】このレベル1のなみ縫いで、最後まで縫います。途中でクリップが邪魔になったらはずしてください。そして、布が平らになっているか確認して玉どめをしましょう。
【64】表側から見るとこのようになります。たぶん、超初心者さんは縫い目がバラバラになっているんじゃないでしょうか。でも、それでもOKです!
【65】反対側も同じように縫ってください。
これで、ゴムひもを通す部分が出来上がりました。
4.19 ゴムひもを通す
【66】ゴムひもを用意しましょう。30cm~35cmぐらいの長さのものを2本です。
【67】ひも通しの穴に、ゴムひもの三分の一ぐらいを通します。すると、ひも通しから、短いゴムひもと長いゴムひもが出ることになります。
【68】マスクのゴムヒひもを入れる部分に差し込みます。
【69】反対側からひも通しを出します。そして、短い方のゴムひもだけをマスクの布から抜き取ります。
【70】すると、ゴムひもがマスクに通りました。ひも通しも外してしまってください。
【71】端を軽く縛ります。これから長さを調節するので、まだしっかりと縛らないでください。
【72】反対側にもゴムひもを通して軽く縛りましょう。
【73】このマスクを使う人が実際に付けてみて、結び目の位置を決めます。決まったらしっかりと結びます。左右でなるべく同じ長さになるようにしてください。
【74】結び目から1cmぐらいの位置で余分なゴムひもを切って短くします。
これで出来上がりでもいいのですが、この結び目を隠す方法も紹介します。
【75】【省略OK】ゴムひもを引っ張って、結び目を布の近くに移動します。そして、さらに引っ張ると、
【76】【省略OK】結び目が布の中に隠れます。
これで、出来上がりです。おつかれさまでした!
5. 出来上がったら
完成おめでとうございます!
初めての作品、意外とうまくできましたか? それとも、納得できない出来栄えでしょうか?
誰でも最初はうまく出来ません。それでも、一つの作品を作り上げると自信が付いてきます。少しずつでいいのでレベルアップしていきましょう♪
型紙の子供用サイズは、2~6歳ぐらいの幼児サイズです。大人用サイズは、「女性小さめサイズ」です。アゴやホオまですっぽり覆いたい方や、男性や顔が大きめな方には、大人用サイズそのままの大きさだとかなり小さく感じます。
人によって顔の大きさ・形・好みがかなり違うため、作成するときはまずは1つ作ってみて(試作して)顔に当ててサイズを確認してください。出来上がったマスクが小さかったら、型紙の周囲をプラス0.5cm~プラス1.5cmぐらいするか、110%~130%に拡大コピーしてみてください。(プラス0.5cm=110%拡大コピー、プラス1.5cm=130%拡大コピーぐらいです。)
試作なしに最初からぴったりのマスクを作りたい場合は、型紙を内側の点線でカットしたもの(紙)を2つ用意し、鼻からアゴのカーブをセロテープで貼り合わせ、顔に当ててサイズを確認し、型紙のサイズを調節してから作成すると、うまくいくかもしれません。
ツイッターなどでたくさんの方から作成報告を頂きますが、
「女性(中学生・高校生・成人)」の半分くらいの方が大人用の型紙そのままでピッタリで、残りの半分の方は大人用の型紙ををプラス0.5cm~1cm(拡大率110%~120%)する方が多く、
「男性(中学生・高校生・成人)」の場合は、大人用の型紙の周囲をプラス1cm~1.5cm(拡大率115%~130%)、
小学生は子供用の型紙の周囲をプラス0.5cm(拡大率110%)、もしくは大人用をそのまま、
幼児(2歳~6歳ぐらい)は、子供用の型紙をそのままという方が多い印象です。
この超初心者向け講座をマスターされた方は、次は、初心者さん向けのマスクの作り方を見てください。こちらは、ミシンを使った作り方ですが、手縫いでも作れます。
接着芯の使い方や綺麗に作るコツなんかも書いてありますので、もっときれいに作りたい!と思った方は必見です。
また、ノーズフィッター(ワイヤー)やフィルター用ポケット付きにするアレンジ方法もあります。
そして、他の作品にもチャレンジしてみるのはいかがでしょう。このサイトでは、他にもたくさんの型紙&作り方を無料で公開しています。まずは簡単なものから作ってみてください。
>>難易度★☆☆☆☆(簡単)の型紙を見る
>>難易度★★☆☆☆の型紙を見る
>>難易度★★★☆☆の型紙を見る
>>難易度★★★★☆の型紙を見る
>>難易度★★★★★(難しい)の型紙を見る
そして色々と作ってみると、ミシンが欲しくなってくると思います。価格帯別に初心者さん向けのミシンを紹介していますので、参考にしてください。
私の愛用している道具の紹介も参考にどうぞ。
6. あとがき
この「立体布マスク」作成講座は、針と糸を持ったこともない方や、玉どめ?なみ縫い?不器用だし裁縫なんて無理!という超初心者さんのための講座です。
それでは、そんな方々のために、マスクを作るときのコツを3つ紹介します。それは、「たどり着く」「作り始める」「あきらめない」です。
すべては、この講座に「たどり着く」ことから始まります。もし、マスクを作りたいけど自分には無理とあきらめている人を見かけたら、この講座の存在を教えてあげてください。
そして、完璧な材料と完璧な道具を揃えようとしないでください。作り始めるまでのハードルが上がってしまいます。代用品を使うなどしてとにかく「作り始めて」ください。
最後に、決して「あきらめない」でください。縫い目がぐちゃぐちゃでもいいんです。とにかくマスクらしき形を作り上げましょう。次はもっとうまく出来ます!
以上が、作るときのコツです。作り方のコツでなくてすみません。実は、作り方にコツなんてないんです。作り方の通りに作っていけば超初心者さんでも自然と作れるようになっていますから。
マスクが品薄で困っているすべての方に、自作マスクという選択肢をあきらめて欲しくない。そんな思いでこの講座を執筆しました。
一人でも多くの方が笑顔になれますように。
2020年2月6日
ことろ